オールソールとは?またそのタイミングは。
オールソールとは、ヒール部分を含め靴底をすべてを交換することを指します。
すべてといっても、それぞれ靴の底付けの製法や、取付けられているソールにより
取り除く部分、残す部分、取り外せない部分など一足一足で異なります。
いわゆる紳士靴のように、昔からあまり変わらない製法の場合は、
修理できるような製法で作られているのですが、近年のコンフォートシューズや
ハイテクスニーカーなどは、どちらかということ工業製品に近い
製造行程となっており、ソールの交換が難しいものもでてきております。
靴底の製法では、ウェルテッド製法、マッケイ製法、ステッチダウン製法、
セメンテッド製法などが、底付けのおおまかな製法となります。
紳士靴では、ウェルテッド製法やマッケイ製法、ステッチダウン製法が多く行われており、
婦人靴ですと、殆どがセメンテッド製法になっております。
それぞれの製法により、ソール交換の時期というのは決まっております。
その時期を逃してしまいますと、修理費用が余計に掛かってしまったり、
仕様の変更を余儀なくされたり、見栄えにも影響でてしまったりと
ありますので、適時補修、交換される事がお勧めであります。
ソール交換の際には、以前別のお店でソールを交換された靴なども時々やって参ります。
ウェルテッド製法の場合は、靴の周囲にウェルトが縫い付けられており
その縫いしろへ、新たなソールを縫い付ける訳なのですが、
前回のお店で、古い底縫いの糸をウェルトから抜かずに、
オールソールされてしまっている、困った靴も時々あります。
その時は古い糸、新たに縫われた糸、ウェルトを固定している漉い縫いの糸…、
それぞれが絡まり合いとてもカオスな状態に…。
なかなかその糸を抜くのは大変ですので、修理店さん、
お願いですからそんな修理は辞めてくださいな…。
オールソールのタイミング
オールソールのタイミングというのは、3通りあります。
一つは、使用によって靴底が摩耗し、穴が開き始めている場合。
2つ目は、劣化によりソールが割れてしまう場合。そして3つ目は、
現状のソールだと重くて履けない、堅くて疲れる、ソールを変えてデザインを変更したい
など履き心地や印象を変更されたい場合とになります。
履き心地やデザインを変えたい場合は、新品で購入された状態で
ご依頼される方もいらっしゃいます。
タイミングで分かり難いのは革底の場合かと思います。
ウェルテッド製法の場合は、ウェルトにソールを縫い付ける訳ですから
そのウェルトまで擦り減らしてしまいますと新たにソールが縫い付けられません。
つま先部分のウェルトをすり減らしてしまう方が多いのでお気をつけください。
(そういった方はソール交換の際にハーフソールスチール併用仕様がおすすめです)
*ウェルト交換と云う方法もありますが費用が割高です。
ウェルテッド製法の場合はそもそもソール交換が行い易いように
開発された製法ですので、それをウェルトまで減らしてしまうというのは…です。
次にマッケイ製法、セメンテッド製法の場合は、これらは、本体に直接縫製または接着されておりますので、
靴底中央を指で押し、ぺこぺこしている場合は交換時期が近い状態となります。
ステッチダウン製法の場合は通常はミッドソールと本体を底縫いし、その土台に
革底を貼り付けているか、またはマッケイ製法を組み合わせて中底に縫製している場合
などがあります。この場合も判断がつきにくいと思いますが、同様に靴底中央のペコペコを
目安でいいかと思います。ただ注意点としてはウェルテッド製法同様に、つま先が
摩耗しすぎてアッパーと縫製している部分まで摩耗しないように注意が必要です。
いずれの場合も判断に迷われましたら、摩耗しすぎないうちにお気軽にご相談ください。。